結論:看護師も副業はできます。ただし最初に確認するのは「どんな副業をするか」ではなく「勤務先のルール」です。国公立病院などの公務員看護師は許可がなければ原則として兼業できず、民間病院でも就業規則で届出や許可を求めていることがあります。ルールを確認したうえで、健診・イベント救護・介護施設の看護などのスポット勤務から始めるのが、看護師の経験をそのまま収入に変える近道です。
看護師は副業できる?最初に勤務先の区分を確認する
看護師の副業で一番多いつまずきは、仕事選びではなくルールの確認漏れです。同じ看護師でも、勤務先が公的機関か民間かで前提がまったく違います。
| 勤務先 | 副業の扱い | 最初にやること |
|---|---|---|
| 国立病院機構・国立大学病院などの国家公務員/独立行政法人職員 | 国家公務員は国家公務員法103条・104条により、営利企業への従事や報酬を得る兼業に許可が必要。独立行政法人は各法人の規程による | 人事担当に兼業許可の手続きと基準を確認する |
| 都道府県立・市町村立病院などの地方公務員 | 地方公務員法38条により、報酬を得る兼業には任命権者の許可が必要 | 所属先の兼業許可基準(時間・内容・報酬)を確認する |
| 民間病院・クリニック・介護施設 | 法律上の一律禁止はない。就業規則で「届出制」「許可制」「禁止」のいずれかが定められていることが多い | 就業規則の副業・兼業の条文を読む。記載がなければ上司か人事に確認する |
民間の場合、厚生労働省の「モデル就業規則」は2018年の改定で副業・兼業を原則として認める内容に変わっており、許可制から届出制に移行した医療機関もあります(2026年9月時点)。ただし、実際に効力を持つのはあなたの勤務先の就業規則です。モデル就業規則はあくまで雛形なので、「国が認めているから大丈夫」とは判断しないでください。
就業規則の読み方や、規則に書かれていない場合の考え方は副業と就業規則の確認ポイントで詳しく解説しています。
看護師に多い副業8つ
看護師の副業は、資格を使うものと使わないものに分かれます。資格を使う仕事は単価が高い一方で、勤務日時が決まっていて本業のシフトとの調整が必要です。
| 副業 | 働き方 | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 健診・検診スタッフ | 企業健診や学校健診での採血・問診・計測。午前だけの短時間勤務が多い | 採血に慣れている人、日勤で短時間だけ働きたい人 | 繁忙期(春〜秋)に募集が偏る |
| イベント救護 | スポーツ大会・コンサートなどの救護室待機 | 急変対応の経験がある人 | 土日中心。屋外で長時間になることがある |
| ツアーナース | 修学旅行・林間学校などへの同行 | 小児対応が得意な人、連休が取れる人 | 数日単位で拘束される。本業の休みと合わせにくい |
| 介護施設・デイサービスの看護 | バイタル測定、服薬管理、処置 | 高齢者看護の経験がある人 | 夜勤明けの勤務は避ける |
| 訪問入浴 | 入浴前後の健康チェック | 体力に自信があり、在宅医療に興味がある人 | 移動と力仕事が多い |
| 保育園・学童の看護 | 子どもの体調管理、けが対応 | 小児科経験者 | 単発より週1〜2日の継続が中心 |
| 医療系の執筆・監修 | 医療記事のライティング、内容チェック | 文章を書くのが苦にならない人 | 最初は単価が低い。医療広告の規制を理解しておく必要がある |
| オンライン健康相談・講師 | 電話・チャットでの健康相談、看護学生や受験生への指導 | 説明が得意な人、専門分野がある人 | 自宅で働けるが、募集数は限られる |
最初の1つを選ぶなら、健診スタッフかイベント救護がおすすめです。拘束時間が短く、1回単位で試せるため、本業との両立ができるかを確かめやすいからです。
単発・スポットで働くときに知っておきたい「派遣」の制限
看護師の単発求人を探していると、「派遣」「紹介」「直接雇用」が混在していることに気づきます。ここは法律上の制限が多いため、仕組みを知っておくと応募先を選びやすくなります。
- 病院・診療所への派遣は原則禁止:労働者派遣法により、医療機関での看護業務への派遣は原則として認められていません。例外は、紹介予定派遣、産休・育休などの代替、へき地の医療機関などに限られます。
- 介護施設・社会福祉施設などへの派遣は可能:デイサービスや有料老人ホームなどでの看護業務は派遣で働けます。
- 日雇い派遣(30日以内)は原則禁止:ただし、副業として働く人で本業の年収が500万円以上の場合などは例外として認められています。
健診やイベント救護の多くは、派遣ではなく主催者や医療機関に直接雇用される単発アルバイトとして募集されています。求人を見るときは「雇用主はどこか」を確認すると、条件の違いが分かりやすくなります(いずれも2026年9月時点の制度)。
副業はなぜ勤務先に知られるのか|住民税の仕組み
「副業はバレるのか」という疑問は多いのですが、仕組みはシンプルです。会社員の住民税は、原則として勤務先の給与から天引き(特別徴収)されます。副業の所得があると住民税額が増えるため、勤務先の担当者が「給与の割に住民税が高い」と気づくことがあります。
副業が給与所得以外(執筆・講師などの業務委託)であれば、確定申告の際に住民税を自分で納める「普通徴収」を選べる場合があります。一方、アルバイトなど給与所得の副業は、自治体によっては普通徴収を選べず本業と合算して特別徴収になります。
ただし、ここで考えてほしいのは「どうすれば知られないか」ではありません。就業規則で届出や許可が必要なのに黙って働くと、発覚したときに懲戒の対象になりえます。看護師は人手不足で副業の許可が下りやすい職種でもあるため、正面から申請するほうが結果的にリスクは小さくなります。住民税の仕組みは副業と住民税の関係で詳しく説明しています。
税金と確定申告|「20万円ルール」の正しい意味
副業の税金でよく聞く「20万円以下なら申告不要」は、所得税の確定申告についてのルールです。本業の年末調整を受けている会社員は、副業の所得が年20万円以下なら所得税の確定申告をしなくてよいとされています。
ただし注意点が2つあります。
- 住民税の申告は別に必要:所得税の申告が不要でも、住民税には20万円ルールがありません。市区町村への申告が必要です。
- 「所得」は売上ではない:アルバイトなら給与の額、業務委託なら売上から経費を引いた額で判定します。2か所から給与を受けている場合は、副業の給与収入で判定するなど扱いが異なるため、国税庁の案内か税務署で確認してください。
税額の計算や申告の流れは副業の税金と確定申告にまとめています(制度は2026年9月時点)。
見落としやすい労働時間と体調の問題
看護師の副業で、税金以上に注意したいのが働きすぎです。労働基準法38条では、勤務先が異なっても労働時間は通算されると定められています。本業と副業を合わせて法定労働時間を超えると、後から契約したほうの勤務先に割増賃金の支払い義務が生じるため、副業先から勤務時間の申告を求められることがあります。
それ以上に大きいのが体調面です。
- 夜勤明けの副業は入れない:判断力が落ちた状態での医療行為は、患者にも自分の資格にもリスクになります。
- 月の上限を先に決める:「月2回まで」「休日の半分まで」など、始める前に上限を決めておくと、断れずに増えていくのを防げます。
- 賠償責任保険を確認する:単発勤務先の保険の適用範囲を確認し、必要なら看護職向けの個人賠償責任保険を検討します。
副業より「本業の見直し」のほうが効くケース
副業を考える理由が「今の収入では足りない」なら、先に比べておきたいのが本業の条件を変えた場合の収入です。看護師の給与は、同じ経験年数でも勤務先の種別・夜勤回数・地域手当で大きく変わります。休日を削って副業で月数万円を積み上げるより、職場を変えて基本給や手当が上がるほうが、体への負担は小さく済むことがあります。
| こんな場合 | 向いている選択 |
|---|---|
| 今の職場は好きで、休日に少し働く余力がある | 副業(健診・救護などのスポット勤務) |
| 休日も疲れが取れず、収入にも不満がある | 本業の見直し(転職・働き方の変更) |
| 夜勤を減らしたいが収入は落としたくない | 本業の見直し+小さな副業の組み合わせ |
| 病院以外の働き方を試したい | 介護施設や訪問系の副業で相性を確かめる |
本業の条件を比べるなら、ナース専科 転職のような看護師専門の転職支援で、今の経験年数・希望条件だとどの程度の求人があるかを聞いてみるのが手早い方法です。転職するかどうかを決めていなくても、相場を知ることで「副業で補うべき金額」が具体的になります。
訪問看護の分野で働く可能性を見てみたい場合は、訪問看護の求人に強いジョブサポ看護師PRで、面談のうえで条件に合う求人があるかを確認できます。訪問看護は1件あたりの訪問で勤務を組む形態もあり、本業との両立を前提に相談できる場合があります。
看護師の職場ごとの違いは看護師の職場ガイドで比較しています。
看護師が副業を始める5ステップ
- 就業規則を確認する:副業・兼業の条文、届出・許可の要否、禁止されている業務(競合する医療機関での勤務など)を確認します。
- 上限を決める:月の回数と、夜勤明け・連勤中は入れないなどのルールを先に決めます。
- 最初の1回はスポット勤務で試す:健診やイベント救護など、1回単位で終わる仕事から始めます。
- 必要なら届出・許可申請をする:勤務先、業務内容、勤務時間を具体的に書くと許可が下りやすくなります。
- 記録を残して年末に申告する:勤務日・収入・交通費を記録し、確定申告か住民税の申告に備えます。
よくある質問
看護師の副業は就業規則で禁止されていたらできませんか?
禁止規定がある以上、無断で働くと懲戒の対象になりえます。ただし、裁判例では本業に支障がない副業まで一律に禁止することは合理性を欠くと判断されることがあり、就業規則の運用も見直されつつあります。まず上司や人事に、どの範囲なら認められるかを相談してください。
公務員看護師は一切副業できませんか?
一切できないわけではなく、任命権者の許可を得れば兼業できる場合があります。許可の基準は所属先によって異なるため、人事担当に確認してください。
夜勤専従の看護師でも副業はできますか?
制度上は勤務先のルール次第ですが、夜勤専従は生活リズムが崩れやすく、労働時間も長くなりがちです。副業を入れる場合は、勤務と勤務の間に十分な休息時間を確保できる日だけに限定してください。
在宅でできる看護師の副業はありますか?
医療記事の執筆・監修、オンライン健康相談、看護学生向けの指導などがあります。ただし募集数は現場の仕事ほど多くないため、最初はスポット勤務と並行して探すのが現実的です。
副業の収入が少なくても確定申告は必要ですか?
本業で年末調整を受けていて、副業の所得が年20万円以下なら所得税の確定申告は不要とされています。ただし住民税の申告は別に必要です。医療費控除などで確定申告をする場合は、20万円以下の副業所得も含めて申告します(2026年9月時点)。
本記事は2026年9月21日時点の法令・公的情報をもとに作成しています。制度の適用は勤務先の規程や個別の状況によって異なります。税務の判断は税務署または税理士にご確認ください。
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