M&A・事業承継コンサルの仕事|FA・PEファンド・年収・転職キャリア

M&A事業承継コンサル

M&A・事業承継コンサルは、後継者問題の解決だけでなく、企業の成長投資、事業再編、PEファンドによる企業価値向上まで扱う仕事です。近年はM&A件数の増加と事業承継ニーズに加え、成約後のPMIやバリューアップを重視する動きが強まり、FA、FAS、PEファンド、戦略コンサルを横断して注目度が高まっています。

この記事でわかること
  • 事業承継コンサル、M&A仲介、FA、FAS、PEファンドの違い
  • FA業務の流れと、PEファンド内の投資・バリューアップ業務
  • ベイン・アンド・カンパニーとベインキャピタルの違い
  • 公開求人から見る給与水準、報酬構造、人気の理由と厳しさ
  • 未経験・コンサル・金融経験者が目指すキャリアルート

M&A領域のコンサル・FASへの転職を検討する場合は、コンサル転職の年収相場と職位の考え方を確認してください。

M&A・事業承継を支える5つの職種

職種主な依頼者・立場中心業務成約後
事業承継コンサル経営者・後継者承継方針、株式・経営権、組織・税務論点を整理引継ぎ、経営体制の定着
M&A仲介譲渡側と譲受側の間案件化、候補探索、面談、条件調整、成約支援会社によりPMI支援
FA買い手または売り手の一方戦略、価値評価、交渉、プロセス管理PMI担当へ引継ぐ場合が多い
FAS・戦略コンサル企業・PEファンド財務/事業DD、カーブアウト、再生、PMI、価値向上計画100日計画、KPI設計、実行支援
PEファンド投資家として経営に関与案件発掘、投資判断、買収、モニタリング、バリューアップ、売却投資期間を通じて企業価値向上を主導

なぜ今、M&A・PEキャリアが人気なのか

  • 承継需要が構造的に大きい:後継者不在や経営者の高齢化を背景に、第三者承継が有力な選択肢になっています。
  • M&Aが経営戦略の中核になった:成長投資、非中核事業の売却、業界再編、海外展開など目的が広がっています。
  • 「買って終わり」ではない:PMI、DX、価格戦略、人材・組織、追加買収など、投資後の価値創造人材が求められています。
  • 経営者と近い:財務、戦略、交渉、実行を一つの案件で経験でき、市場価値につながりやすい仕事です。
  • 報酬の上振れがある:FA・仲介・PEは賞与やインセンティブの比重が大きく、成果次第で高い総報酬になり得ます。
人気=入りやすい、ではありません。PEファンドの投資担当・ポートフォリオ支援は採用枠が少なく、投資銀行、FAS、戦略コンサル、事業会社M&Aなどでの実績が重視されます。長時間労働、案件失注、情報管理、投資判断への重圧もあります。
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FA業務とは何をする仕事か

FA(Financial Advisor)は、買い手または売り手の一方の利益を代表してM&Aを支援します。双方の間に立つ仲介とは立場が異なり、依頼者の目的、許容価格、交渉方針を明確にして取引全体を設計します。

  1. オリジネーション:経営課題を聞き、買収・売却の目的、対象業界、案件仮説を作る
  2. 案件準備:NDA、ティーザー、IM、経営者面談資料、プロセスレターを準備する
  3. 企業価値評価:DCF、類似会社・類似取引、LBO分析などを使い、価格レンジと感応度を整理する
  4. 候補探索・入札:候補リスト、打診、NBO/LOI、優先交渉権までを管理する
  5. DD統括:財務・税務・法務・事業・IT・人事の専門家を束ね、Q&Aと重要論点を管理する
  6. 交渉・契約:価格だけでなく、表明保証、補償、アーンアウト、経営者保証、クロージング条件を詰める
  7. 資金調達・クロージング:融資・出資、前提条件、資金決済、株式移転を管理する
  8. PMIへの接続:投資仮説、シナジー、リスクを100日計画へ引き継ぐ
仲介とFAを選ぶ際の確認点
誰の利益を代表するか、相手方から報酬を受けるか、手数料の算定基準、専任・直接交渉制限、利益相反への対応を契約前に確認します。法務・税務の最終判断は弁護士・税理士などの専門家と行います。

PEファンド内の仕事は「投資」と「価値創造」に分かれる

1.投資チーム(Investment Professionals)

案件発掘、初期スクリーニング、投資仮説、DD、LBOモデル、投資委員会資料、入札、SPA交渉、買収ファイナンス、投資後モニタリング、追加買収、出口戦略までを担当します。分析だけでなく、自ら資本を投じる立場でリターンとダウンサイドを判断します。

2.ポートフォリオ/オペレーティングチーム

投資先経営陣とともに、100日計画、KPI、価格・営業、生産性、調達、DX、人材・組織、資本政策、追加買収とPMIを推進します。戦略コンサル出身者が移りやすい「PEファンド内コンサル」に近い役割ですが、助言だけでなく実行結果と投資リターンへの責任が重くなります。

3.外部のPE向けコンサル

戦略コンサルやFASが、商業DD、オペレーショナルDD、価値創造計画、PMI、カーブアウト、再生をプロジェクト単位で支援します。複数案件を経験しやすい一方、最終投資判断と保有期間全体の責任はPEファンド側にあります。

「ベイン」の混同に注意
ベイン・アンド・カンパニーは戦略コンサルティング会社で、企業やPEファンドにM&A戦略、DD、PMIなどを提供します。ベインキャピタルはPEを中心とする投資会社で、案件発掘・投資判断・買収後の企業価値向上・売却を担います。別会社・別業務です。

PEファンドの案件を時系列で見る

  1. 投資テーマ設計:成長性、再編余地、競争優位、出口候補を仮説化
  2. ソーシング:FA、金融機関、経営者、業界ネットワークから案件を発掘
  3. DD:市場・顧客・競合、財務、法務、税務、IT、ESG、経営陣を精査
  4. 投資判断:LBOモデル、資本構成、ダウンサイド、価値創造計画を投資委員会で審議
  5. 契約・買収:価格、SPA、融資、ガバナンス、経営陣インセンティブを確定
  6. バリューアップ:100日計画、KPI、営業・価格・コスト・DX・人材・追加買収を実行
  7. 出口:事業会社・他ファンドへの売却、IPOなどで投資成果を実現
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給与水準|固定給・賞与・インセンティブを分けて見る

以下は2026年8月に確認した企業公式求人・採用情報の例です。職種全体の平均ではなく、役職、経験、成果、賞与・インセンティブによって大きく変わります。

領域公開情報の例読み方
事業承継・M&AアドバイザーOAG:年収502万~804万円固定給中心のコンサル型では経験・専門性で上がる
M&A仲介M&A総研:未経験は年420万円+住宅手当+インセンティブ固定給は抑えめでも、成約連動の変動幅が大きい
M&A仲介の高成果例同社公表例:入社2年目1,631万円、3年目2,894万円会社公表の成果例であり、全員の保証・平均ではない
FA・投資銀行経験者M&Aキャピタルパートナーズ求人例:年1,200万円保証+案件インセンティブ経験者採用では固定報酬も上がるが成果連動部分がある
PE・プライベートアセットニッセイ・ウェルス生命のPE投資管理職候補:月95.87万~125.39万円年換算約1,150万~1,500万円。賞与・職位・会社規定を要確認

大手PEファンドの日本の報酬は非公開が多く、投資担当・ポートフォリオ担当とも固定給に業績賞与が加わるのが一般的です。シニア層ではキャリーに参加する場合がありますが、付与条件、権利確定、ファンド成果、退職時の扱いで価値が変わり、必ず受け取れる報酬ではありません。

必要なスキルと、評価される経験

  • 財務:三表、正常収益力、運転資本、ネットデット、DCF・LBOモデル
  • 事業分析:市場規模、顧客継続率、競争優位、ユニットエコノミクス、成長余地
  • 取引実務:DD、入札、契約、資金調達、クロージング条件
  • 経営実行:100日計画、KPI、PMO、組織・人材、DX、PMI
  • 対人力:経営者へのヒアリング、交渉、合意形成、機密情報の管理
  • 仮説と資料:限られた情報で論点を絞り、投資委員会や経営会議に耐える説明を作る力

キャリア別の入り方

戦略コンサル出身

商業DD、価値創造計画、PMIの経験を作り、財務モデリングと取引実務を補うと、PEのポートフォリオ支援や投資チームへの接続が見えます。

投資銀行・FA・FAS出身

モデリング、DD、契約・クロージングを強みにし、投資後の事業運営、価格・営業・組織変革の実績を補強します。

事業会社の経営企画・M&A担当

案件の企画からPMIまで一貫して担った経験、事業KPIを動かした成果、外部専門家を束ねたPMO経験が評価材料になります。

未経験から

いきなりPEだけに絞らず、M&A仲介、事業承継コンサル、FAS、金融機関、経営企画など近接職種で案件経験を作るルートが現実的です。応募先ごとに「案件獲得」「分析」「交渉」「実行」のどこで価値を出せるかを言語化します。

内部リンク|次に深めたい実務

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PE投資先のPMI・バリューアップ経験を案件で広げる

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転職前に確認するチェックリスト

  • 仲介、FA、FAS、PE投資、ポートフォリオ支援のどれを志望するか
  • 固定給、賞与、案件インセンティブ、キャリーの条件を分けて確認したか
  • ソーシング中心か、分析・執行中心か、投資後支援まで担当するか
  • 個人目標、失注時の評価、出張・繁忙期、退職時の変動報酬を確認したか
  • 過去案件を守秘義務に反しない範囲で成果と役割に分けて説明できるか

参考資料・一次情報

給与・制度・募集状況は変更されます。応募時は各社の最新求人票を確認してください。本記事は職種理解を目的とし、個別の投資・法務・税務判断を勧めるものではありません。

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この記事の執筆・編集

Market Value Career 編集部

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