会社員の副業と就業規則|禁止・申請・注意点を解説

会社員が副業を始めるとき、最初に確認すべきなのは「稼げる仕事」より勤務先の就業規則です。副業が認められている会社でも、事前届出、承認、競合企業との取引禁止、情報管理などの条件が設けられていることがあります。

最初の結論
  • 就業規則・雇用契約・誓約書を確認する
  • 許可制か届出制か、申請期限と必要項目を確認する
  • 本業の顧客情報、資料、端末、勤務時間を副業に使わない
  • 副業先と契約する前に、業務内容と競業性を整理する
  • 判断に迷う場合は、人事・上司・労働相談窓口へ確認する

副業は禁止されている?まず知っておきたい考え方

厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」とモデル就業規則を公開しています。モデル就業規則は、勤務時間外に他の会社等の業務へ従事できることを基本としながら、一定の場合には会社が禁止または制限できる構成です。ただし、モデルはすべての会社へそのまま適用される規則ではありません。実際の判断は、自分の勤務先の就業規則と個別事情によります。

本業への支障

睡眠不足、遅刻、欠勤、集中力低下などで本業の労務提供に支障が出る場合です。

企業秘密の漏えい

顧客情報、価格、営業資料、技術情報、社内データなどを副業に利用する場合です。

信用や信頼関係の毀損

勤務先の名称を無断利用する、違法・不適切な業務へ関与するなどのケースです。

競業による利益侵害

勤務先と競合する企業を支援し、顧客や取引機会を奪う可能性がある場合です。

副業を始める前の7ステップ

  1. 就業規則を探す
    社内ポータル、入社時の書類、人事規程から「副業」「兼業」「服務」「秘密保持」を検索します。
  2. 雇用契約と誓約書を確認する
    就業規則だけでなく、個別の雇用契約や秘密保持誓約書も確認します。
  3. 申請区分を確認する
    許可、承認、届出、報告不要のどれか、更新や変更届が必要かを確認します。
  4. 副業内容を具体化する
    相手先、仕事内容、契約形態、期間、稼働時間、場所、報酬を整理します。
  5. 競業と情報利用を点検する
    勤務先の顧客・競合・仕入先との関係、本業情報を使う可能性を確認します。
  6. 申請して記録を残す
    社内様式やメールで申請し、承認内容と条件を保存します。
  7. 開始後も更新する
    取引先、業務内容、時間が変わった場合は再申請や変更届を行います。

副業申請で伝える項目

項目記載内容確認理由
契約先会社名・事業内容競業や信用リスクの確認
業務内容成果物と担当範囲本業との重複確認
契約形態雇用・業務委託など労働時間管理の確認
稼働時間曜日・時間・月の上限健康と本業への影響確認
利用機器私物PC・個人アカウント情報混在の防止
期間開始日・終了予定承認期間の管理

申請文の例

勤務時間外に、業務委託契約で営業資料の改善支援を行う予定です。契約先は〇〇株式会社、期間は〇月から3か月、稼働は土曜日を中心に月15時間以内です。本業の顧客情報・社内資料・会社端末は使用せず、勤務先と競合する企業への営業活動も行いません。必要な手続きと追加確認事項をご教示ください。

雇用契約と業務委託では確認点が異なる

副業先と雇用契約を結ぶ場合、複数事業場での労働時間の通算や健康確保について確認が必要です。業務委託では、一般に労働者としての時間管理とは異なりますが、長時間稼働による健康リスクがなくなるわけではありません。契約名だけで判断せず、実際の指示方法や働き方も確認してください。

雇用型の副業

  • 勤務日と勤務時間
  • 残業や休日労働
  • 本業側への申告方法
  • 社会保険・雇用保険の扱い

業務委託型の副業

  • 成果物と納期
  • 報酬・支払日・源泉徴収
  • 修正回数と追加費用
  • 著作権・秘密保持・解約

情報漏えいを防ぐ実務ルール

  • 本業と副業でPC、メール、クラウドストレージを分ける
  • 顧客名や社内数値を実績として公開しない
  • 生成AIへ社内資料や個人情報を入力しない
  • 勤務先で作成したテンプレートを流用しない
  • オンライン会議の背景、画面共有、通知表示に注意する
  • SNSプロフィールに勤務先名を記載する場合は社内ルールを確認する

会社から認められにくい副業の例

  • 本業の勤務時間中に副業を行う
  • 会社支給のPCや有料ツールを利用する
  • 勤務先の顧客へ個人として営業する
  • 競合企業の戦略や営業活動を直接支援する
  • 深夜稼働が続き、本業の遅刻や欠勤が増える
  • 承認された内容と異なる仕事を無断で追加する

副業申請が却下されたときの確認方法

却下された場合は、理由を感情的に争うのではなく、どのリスクが問題なのかを確認します。取引先を変える、業務範囲を限定する、月の稼働上限を下げる、情報管理方法を明記することで再検討できる場合があります。就業規則の解釈や処分に疑問がある場合は、都道府県労働局の総合労働相談コーナーなど、公的な相談窓口も利用できます。

職種別に注意したい競業・秘密保持

本業の職種副業例注意点
法人営業営業代行・商談相談顧客リスト、価格表、提案資料を転用しない
マーケティング広告運用・SEO支援未公開施策、分析データ、アカウント権限を分離する
人事・採用スカウト・面接代行候補者情報、評価基準、採用計画を持ち出さない
ITエンジニア開発・技術顧問ソースコード、設計、ライセンス、脆弱性情報を分離する
経理・財務記帳・管理会計支援取引先、原価、資金繰り、未公表数値を扱わない
コンサルタントスポット相談クライアント名や成果物の再利用可否を確認する

本業と副業の時間を管理する方法

副業は「空いている時間に行う」と決めるだけでは長時間化しやすくなります。週の上限時間、対応可能な曜日、返信時間、納期を契約前に決めてください。予定外の修正や会議が増えたときは、報酬だけでなく本業と健康への影響も見直します。

週5時間の例

平日2日×1時間、土曜日3時間。相談、記事監修、小規模な資料改善など、範囲を限定しやすい仕事に向きます。

週10時間の例

平日3日×1時間、土曜日7時間。継続案件では連絡時間と作業時間を分け、月の上限を契約に記載します。

毎月確認する項目

  • 本業と副業を合計した実働時間
  • 睡眠時間と休日を確保できているか
  • 納期遅延、遅刻、集中力低下が発生していないか
  • 当初の申請内容から取引先や仕事が変わっていないか
  • 報酬に見合わない追加作業が増えていないか

承認後に保存しておきたい記録

承認メール、申請書、契約書、請求書、作業時間、成果物の版、経費の証憑を副業専用フォルダへ保管します。トラブル時に「何を、いつ、どの条件で合意したか」を説明できる状態にしておくことが重要です。

  • 勤務先への申請日と承認条件
  • 取引先との契約期間、業務範囲、報酬
  • 本業情報を利用していないことが分かる作業記録
  • 成果物の納品日と検収結果
  • 取引先から業務追加を求められた履歴

副業開始前の最終チェックリスト

  • 勤務先への必要な申請が完了した
  • 取引先が勤務先の競合・顧客に該当しないか確認した
  • 業務範囲、報酬、納期、修正条件を文書化した
  • 会社端末、会社アカウント、社内資料を使わない環境を用意した
  • 月の稼働上限と休む日を決めた
  • 税金、住民税、帳簿管理の準備を始めた

よくある質問

就業規則に副業の記載がない場合は始めてもよいですか?

記載がないことだけで自己判断せず、人事や上司へ手続きの有無を確認してください。雇用契約や秘密保持規程に関連条項がある場合もあります。

個人名義のブログやアフィリエイトも申請が必要ですか?

会社ごとに扱いが異なります。報酬が発生する活動、会社名の利用、競業テーマを扱う場合などは確認しておく方が安全です。

副業を会社へ知らせずに始めるべきですか?

隠すことを前提に進めると、規程違反や信頼関係の問題につながります。まず勤務先のルールを確認し、必要な届出を行ってください。

関連記事

参考資料

本ページは一般的な情報提供を目的としています。個別の労務判断は勤務先、公的相談窓口、社会保険労務士、弁護士等へご確認ください。

目的別に使えるおすすめサービス

【PR】本セクションにはアフィリエイト広告を含みます。掲載サービスはいずれも無料で相談・利用を開始できます。

スキル販売

ココナラ

自分のスキルや得意を出品できる国内最大級のスキルマーケット。副業の第一歩として低リスクで始められます。

  • 向いている人:自分のスキルで副業を始めたい人
  • ポイント:登録・出品は無料
ココナラを見てみる →
バーチャルオフィス

NAWABARI

月額1,100円から使えるバーチャルオフィス。副業・ネットショップ運営で自宅住所を公開したくない場合の対策になります。

  • 向いている人:自宅住所を公開せず副業したい人
  • ポイント:月額1,100円から利用できる
詳細を確認する →

この記事の執筆・編集

Market Value Career 編集部

市場価値、転職、副業、AI・リスキリング、成長産業、コンサルティングを中心に、働く人が判断し行動するための実践情報を編集・更新しています。公的機関・企業公式情報などの一次情報を優先して確認します。

運営者情報・専門領域を見る

参考資料・情報源

当サイトでは、公的機関、法令、企業公式情報、業界団体などの一次情報を優先する方針です。個別に参照した資料は本文中の出典リンクをご確認ください。確認方法と更新基準は編集方針・ファクトチェック・情報更新ポリシーで公開しています。