リスキリングの補助金・給付金ガイド|教育訓練給付とキャリアアップ支援事業

リスキリングには、個人が使える給付制度と企業が使える助成制度があります。受講費用の最大80%が支給される制度もあり、使えるかどうかで自己負担は大きく変わります。

このページでは、会社員が個人で使える制度を中心に、対象・給付率・上限額・使うときの判断基準を整理します。制度の要件は見直されるため、実際の申請前には必ず公式情報での確認が必要です。その確認先も明記しています。

最初にお読みください。本ページの内容は、公表情報にもとづく一般的な整理です。対象講座・給付率・上限額・支給要件・申請期限は制度の見直しにより変更されます。また、対象となる講座はあらかじめ指定されたものに限られ、すべてのスクールや教材が対象になるわけではありません。実際に利用する際は、必ず厚生労働省・ハローワーク・各制度の公式サイトで最新の要件をご確認ください。本ページは給付の可否を判断・保証するものではありません。

制度の全体像

リスキリングに使える公的な支援は、大きく3つに分かれます。まず自分がどれに該当するかを把握してください。

区分 主な制度 誰が申請するか 対象
個人向けの給付 教育訓練給付制度(一般/特定一般/専門実践) 本人がハローワークへ 雇用保険の被保険者、または離職後一定期間内の人
個人向けの転職支援つき補助 リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業 本人が補助事業者を通じて 在職中で、転職を目指している人
企業向けの助成 人材開発支援助成金 など 会社が申請 従業員に訓練を実施する事業主

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会社員がまず確認すべきは、①勤務先の自己啓発支援制度 → ②教育訓練給付制度 → ③その他の順です。社内制度のほうが手続きが簡単で、支給までが早いケースが多いためです。社外の制度を調べる前に、まず人事に確認してください。

教育訓練給付制度|個人が使える中心的な制度

雇用保険法にもとづく制度で、厚生労働大臣が指定した講座を受講・修了した場合に、受講費用の一部が支給されます。個人が申請し、本人に支給されます。

3種類の給付率と上限額

種類 給付率 上限額 支給要件期間(初回) 主な対象講座のイメージ
一般教育訓練給付金 20% 10万円 雇用保険の被保険者期間 1年以上 幅広い分野の講座。資格取得・スキル習得系
特定一般教育訓練給付金 最大50% 25万円 雇用保険の被保険者期間 1年以上 速やかな再就職・early キャリア形成に資する講座
専門実践教育訓練給付金 最大80% 年間64万円 雇用保険の被保険者期間 2年以上 中長期的なキャリア形成に資する専門的・実践的な講座

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特定一般・専門実践については、基本の給付に加えて、資格取得や就職の状況に応じた追加支給が設けられています。給付率の「最大」という表記は、この追加分を含めた場合の割合です。修了しただけでは上限まで受け取れない設計になっている点に注意してください。

2回目以降の利用について:一度給付を受けた場合、次に受けられるまでに一定の期間が必要です。また、受講開始日時点での被保険者期間の要件も、初回とは異なります。複数回の利用を考えている場合は、必ずハローワークで確認してください。

3種類の違いと、自分に合うものの選び方

一般教育訓練給付金|まず試したい人向け

対象講座の範囲が最も広く、比較的手続きも簡単です。給付率20%・上限10万円なので、受講費用が10万〜50万円程度の講座で使うことになります。

  • 向いている人:特定の資格やスキルを、まず一つ取りたい
  • 注意:給付額が小さいので、講座選びの決め手にはしない

特定一般教育訓練給付金|再就職を意識する人向け

速やかな再就職やキャリア形成に効果が高いとされる講座が対象です。給付率が最大50%・上限25万円と、一般より手厚くなっています。

  • 向いている人:転職を前提に、比較的短期間で資格・スキルを取りたい
  • 注意:受講前にキャリアコンサルティングを受けるなどの手続きが必要

専門実践教育訓練給付金|本格的に転換する人向け

最大80%・年間上限64万円と、最も手厚い制度です。その分、対象講座は専門的・実践的なものに限られ、期間も長期にわたることが多くなります。

  • 向いている人:職種の転換を伴う、まとまった学習を計画している
  • 注意:受講前のキャリアコンサルティングと受給資格確認の手続きが必須。事前手続きを飛ばすと対象外になる

どれを選ぶかは「講座」で決まる

自分で種類を選ぶのではなく、受けたい講座がどの区分に指定されているかで決まります。まず受けたい講座を決め、それが指定講座かどうか、どの区分かを確認する、という順序になります。指定講座は厚生労働省の検索システムで確認できます。

リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業

経済産業省の事業で、在職中の人が、転職を目指してリスキリングを行う場合を支援するものです。教育訓練給付制度とは別枠で、講座受講から転職までを一体で支援する点が特徴です。

項目 内容
対象者 企業と雇用契約を結んでいる在職中の人(雇用形態は問わない)で、雇用主の変更を伴う転職を目指している人。年齢制限なし
対象外 個人事業主・フリーランス・無職の人
補助率・上限 受講費用の最大70%(最大56万円)
内訳① 講座修了時:受講費用の2分の1相当額(上限40万円)
内訳② 転職し、その後1年間の継続就業が確認できた場合:受講費用の5分の1相当額(上限16万円)
重要な条件 追加支給の対象となるのは、講座を提供した補助事業者の転職支援を利用した転職に限られる
事業期間 令和8年度末(2027年3月末)まで継続予定

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この事業を検討する際にとくに注意すべき点が2つあります。
①転職しないと満額にならない:修了時点で受け取れるのは上限40万円までで、残りは転職と1年の継続就業が条件です。転職の意思がない場合は、想定より自己負担が大きくなります。
②補助事業者の転職支援を使う必要がある:自分で見つけた求人に転職した場合、追加支給の対象外になり得ます。どの企業を紹介してもらえるかは事業者によって異なるため、講座内容だけでなく、転職支援の実態(紹介先の業界・職種・実績)を事前に確認してください。

教育訓練休暇給付金

在職中の人が、教育訓練のために休暇を取得した場合に、生活を支えるための給付が受けられる仕組みです。受講費用を補助する制度ではなく、学習期間中の収入を支える性格の制度である点が、教育訓練給付制度との大きな違いです。

  • 対象:教育訓練のために休暇を取得した在職者
  • 支給される額:雇用保険の基本手当に相当する額
  • 前提:勤務先に、そうした休暇を取得できる制度・運用があること

まとまった期間、集中して学ぶ計画がある場合には検討の余地があります。ただし勤務先の制度と運用に依存するため、まず人事に「教育訓練を目的とした休暇取得が可能か」を確認するところから始めてください。支給要件や手続きの詳細は、必ず最新の公式情報でご確認ください。

企業向けの助成制度

会社が従業員に訓練を実施する場合に使える助成制度もあります。個人が直接申請するものではありませんが、知っておくと社内で研修を提案しやすくなります。

制度 概要 個人としての活かし方
人材開発支援助成金 事業主が従業員に職業訓練を実施した場合に、経費や訓練期間中の賃金の一部が助成される。複数のコースがある 「この研修は助成金の対象になり得ます」と添えて社内提案すると、承認されやすくなる
自治体の独自制度 都道府県・市区町村が独自にリスキリング支援を設けている場合がある 勤務地・居住地の自治体サイトを確認する

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助成金の対象となる訓練の要件(時間数、内容、実施方法など)は細かく定められており、申請は会社が行います。個人からの提案としては、「こういう研修を受けたい」ではなく「この業務課題を解決するために、この訓練が必要で、助成制度の対象になる可能性がある」という形にすると通りやすくなります。

まず社内制度を確認する

公的制度を調べる前に、勤務先の制度を確認するほうが早いケースが多くあります。見落とされがちですが、次のような制度が用意されている会社は少なくありません。

自己啓発支援制度

書籍・講座・セミナー費用の補助。年間上限が決まっている形が一般的です。申請すれば通るのに、存在を知らずに使われていないことがよくあります。

資格取得補助・報奨金

指定資格の受験料・講座費用の補助、合格時の一時金。対象資格リストを確認してください。

eラーニングの法人契約

会社が学習プラットフォームを契約している場合、追加費用なしで多数の講座を受講できます。使われていないケースが非常に多い領域です。

社内公募・異動制度

学んだスキルを活かす場を、社内で得る手段です。学習と併せて確認しておくと、適用先を確保できます。

支援制度を使うべきかの判断基準

給付が受けられるからといって、講座を受けるべきとは限りません。制度は費用を下げるものであって、成果を保証するものではないからです。判断の順序を整理します。

判断1

そもそも講座が必要か

本サイトで整理しているとおり、生成AIの業務適用と業務プロセス設計は、費用をかけずに実務成果まで到達できます。まず無料の範囲で進め、足りない部分を具体的に言語化できてから講座を検討してください。順番が逆だと、何を買ったのか分からないまま終わります。

判断2

目指す職種・ポジションが具体的か

「なんとなくAI関連」では、投資を回収できません。目指す求人が実際に存在し、求められる要件を確認できているかを先に確かめてください。

判断3

給付を除いた実質負担で判断できるか

「80%給付されるから」で決めると、残り20%+時間コストの妥当性を検討しなくなります。給付がなくても払う価値があるかで判断し、給付は結果的な割引と捉えるのが健全です。

判断4

修了できる時間を確保できるか

給付は修了が条件です。仕事と両立できない分量の講座を選ぶと、途中で止まり、給付も受けられず、費用だけが残ります。週あたりの必要時間を必ず確認してください。

申請の進め方(教育訓練給付制度の場合)

STEP 1

受けたい講座を決める

先に制度を選ぶのではなく、講座から決めます。そのうえで、その講座が厚生労働大臣の指定講座かどうか、どの区分かを確認します。

STEP 2

自分が支給要件を満たすか確認する

雇用保険の被保険者期間などの要件があります。ハローワークで「受給資格の照会」ができます。ここを確認せずに受講を始めるのが最も多い失敗です。

STEP 3

必要な事前手続きを済ませる

特定一般・専門実践では、受講開始前にキャリアコンサルティングを受け、受給資格確認の手続きを行う必要があります。期限があり、受講開始後では間に合いません。

STEP 4

受講し、修了する

出席率や課題提出など、修了の要件が定められています。要件を満たさないと給付を受けられません。

STEP 5

期限内に支給申請する

修了後、定められた期間内にハローワークへ申請します。領収書や修了証明書などの書類が必要になるため、受講中から保管しておいてください。

手続きの詳細・必要書類・期限は制度と区分によって異なります。受講を申し込む前に、必ずハローワークに問い合わせて、自分のケースで何が必要かを確認してください。スクール側の説明だけを根拠に判断しないことをおすすめします。

注意点とよくある失敗

失敗1:事前手続きを飛ばした

専門実践などでは、受講開始前の手続きが必須です。「あとから申請すればいい」と考えて受講を始めると、対象外になります。最も多く、最も取り返しがつかない失敗です。

失敗2:指定講座でなかった

すべての講座が対象になるわけではありません。同じスクールでも、コースによって対象・対象外が分かれます。コース単位で確認してください。

失敗3:「実質無料」の広告を鵜呑みにした

給付を前提とした「実質◯円」という表示は、給付要件を満たすことが前提です。自分が要件を満たすかは、スクールではなくハローワークが判断します。

失敗4:修了できなかった

仕事と両立できない分量を選び、途中で止まるケース。給付は受けられず、費用だけが残ります。申込前に週あたりの必要時間を確認してください。

失敗5:転職支援の中身を確認しなかった

転職支援つきの制度では、紹介される求人の業界・職種が自分の希望と合わないことがあります。受講前に、紹介実績を具体的に聞いてください。

失敗6:制度ありきで講座を選んだ

「給付対象だから」で選ぶと、目的と合わない講座に時間を使うことになります。目的 → 講座 → 制度、の順序を守ってください。

高額な講座の契約にあたっては、中途解約時の返金条件と、クーリング・オフの適用可否もあわせて確認してください。長期・高額の契約では、特定商取引法上の書面交付や中途解約に関するルールが適用される場合があります。契約前に書面をよく読み、疑問があれば消費生活センター等にご相談ください。

よくある質問

在職中でも教育訓練給付は使えますか?
雇用保険の被保険者であれば、在職中でも対象になります。離職している場合も、離職後一定期間内であれば対象となる仕組みがあります。自分が要件を満たすかは、ハローワークで受給資格の照会ができますので、受講申込の前に確認してください。
どの講座が対象になるか、どこで調べられますか?
厚生労働省が運営する教育訓練講座の検索システムで、指定講座を検索できます。スクールのサイトに「給付金対象」と書かれていても、コース単位で対象・対象外が分かれることがあるため、必ずコース名で確認してください。
給付率80%は誰でも受けられますか?
専門実践教育訓練給付金の「最大80%」は、基本の給付に加えて、資格取得や就職の状況に応じた追加支給を含めた場合の割合です。講座を修了しただけでは上限まで受け取れない設計になっています。また年間の上限額(64万円)もあります。
オンライン講座も対象になりますか?
指定講座であれば、通学・オンラインの形態にかかわらず対象になり得ます。ただし、修了の要件(出席・課題提出など)が定められており、これを満たさないと給付を受けられません。受講形態ごとの修了要件を事前に確認してください。
複数の制度を同時に使えますか?
制度によって併用の可否が異なります。同一の講座に対して複数の公的支援を重複して受けることは、原則として認められないことが多いため、どの制度を使うかを事前に決めて確認してください。会社の自己啓発支援との併用可否も、社内規程を確認する必要があります。
会社に知られずに利用できますか?
教育訓練給付制度は個人がハローワークに申請する制度で、会社を経由しません。ただし、勤務先の就業規則や、受講に伴う勤務調整の必要性によっては、事前の相談が適切な場合もあります。判断は個別の状況によります。
制度を使わずに独学で進めることはできますか?
できます。生成AIの業務適用と業務プロセス設計については、費用をほぼかけずに実務成果まで到達できます。公的制度の利用を検討すべきなのは、独学で進めたうえで足りない部分が具体的に特定でき、かつ目指す職種が明確になった段階です。
制度の内容はどこで最新情報を確認できますか?
教育訓練給付制度は厚生労働省およびハローワーク、リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業は同事業の公式サイトが一次情報です。給付率・上限額・対象講座・申請期限は見直されるため、申請前には必ず公式情報でご確認ください。本ページの記載は一般的な整理であり、給付の可否を判断・保証するものではありません。

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出典・参考

  • 教育訓練給付制度の給付率・上限額・支給要件期間:厚生労働省の公表内容にもとづく整理
  • リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業の対象者・補助率・上限額・事業期間:経済産業省の同事業公表内容にもとづく整理
  • 教育訓練休暇給付金:制度概要の公表内容にもとづく整理

本ページの情報は執筆時点のものです。制度の要件は見直されるため、申請前に必ず公式情報をご確認ください。

この記事の執筆・編集

Market Value Career 編集部

市場価値、転職、副業、AI・リスキリング、成長産業、コンサルティングを中心に、働く人が判断し行動するための実践情報を編集・更新しています。公的機関・企業公式情報などの一次情報を優先して確認します。

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